「え?え?」と
吐息に近い戸惑いの声が耳に届く。
翠さんを想う雅くんなんて
今すぐ私の前から消え去って欲しい。
私はがばっと椅子から立ち上がると
ぼーぜんと立ち尽くす
雅くんの腕を引っ張った。
そして私の部屋の外まで連れて行き
雅くんの瞳を思いっきり睨んだ。
それなのに……
雅くん。
なんでそんなに
辛そうな瞳で私を見るの?
なんでそんなに
苦しそうに唇を噛みしめているの?
見たくなかったよ。そんな顔。
だって見ちゃったら
また、忘れられなくなっちゃうじゃん。
大好きでしかたがない、雅くんのこと。
本当は、大好きで大好きで。
たまらなく大好き。
だから、掴んでいる雅くんの腕を
離したくない。
でもサヨナラしなきゃ。
一生会わないっていう覚悟を詰め込んだ
サヨナラを。
涙が止まらない。
大粒の涙がとめどなく溢れてくる。
私は小さく震える肩を
片手でギュッと握りしめながら、
雅くんの腕を掴んでいた手を
ゆっくりと離した。
「もう……
私の前に……現れないで……」



