「そうそう、明梨にお願いがあったんだ」


え? またお願い?

嫌な予感しかしないし。



「絶対に聞かないからね」


「なんで?」


「恋ちゃんのお願いって、とんでもないことばっかりだから!」



恋ちゃんは、私のお母さんのお兄さん。
 
ロリータ服を自分で作って、このお店で販売している。


私は両親と大喧嘩をして、家族の縁を切っちゃった。

だから高1から、恋ちゃんのお店の2階に居候させてもらっているんだ。


恋ちゃんはよく『明梨、お願い』って瞳ウルウルで甘えてくるから、つい言うことを聞いちゃうんだけど……

そのお願い、実はとんでもないことだらけ。



この前だって私が絶対に嫌って言ったのに、私の腕にしがみついて頼んできた。

『新作のドレス、試着して!』って。


30分以上だよ。

どれだけ我慢強いの?


頑固な恋ちゃんに負け、私は袖を通してしまった。

ピスタチオグリーンのロリータドレス。


そしたらヘアメイクもされて。

写真も撮られて、もうゲッソリ。