「もう諦めたってこと?」
「しょうがねえだろ。
俺が何言ったって
明梨の心ん中にいるのは、いつも雅だし」
「そんなこと……」
「それにさ、雅ってかっけーじゃん」
え?
カッコよさで言ったら
100%珀斗くんに負けるよ。
「珀斗くんの方が……
カッコいいじゃん……」
「なに? 俺に告ってんの?」
「はぁぁぁ?」
素っ頓狂な俺の声に
ブハッと堪えきれない笑いを
吐き出した珀斗くん。
「雅の反応、マジでウケる」
何が面白かったわけ?
お腹抱えて、笑いすぎだから!
俺の冷ややかな目に気づいても
知らん顔で笑い続ける珀斗くんに、
「お茶飲む?」と
嫌み混じりでつぶやいたのに。
「飲み物も緑かよ」って
バカにするように笑い続けて。
常温のお茶のペットボトルを
差し出したら、
「冷えてねえじゃん」ってぼやかれて。
ムッと唇をつぼめる自分に
自然と笑いが込み上げてきた。
本当に不思議な人だよ。珀斗くんは。
いじられればいじられるほど
泥のように濁っていた心が
ろ過されていく。



