へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目


 見てるよ。
 だって大好きすぎて
 脳が命令なんてしなくても
 目で追っちゃうんだから。


「明らかに違うだろ?
 雅を見る時はさ、リンゴかって
 突っ込みたくなるくらい頬赤らめて、
 ドキドキ隠してますみたいな
 乙女入ってんのにさ。
 俺には、幼馴染以上の顔
 見せねえじゃん」


「でも……
 俺といる時より、距離近いし」


「当たり前だろ? 幼馴染なんだから」


 『幼馴染』
 またそのキーワードかぁ。


 本当に嫌い。
 足の裏でぐりぐり踏みつぶしたいほど
 大嫌い。

 この世から消えて欲しい。その言葉。


 イライラが募って来て
 俺が貝みたいに口を堅く閉ざした時、
 あきれ顔の珀斗くんが声を響かせた。


「明梨と別れたんだよな?」


「……うん」


「雅から、ふったんだよな?」


「……うん」


「じゃあ、俺が明梨を奪ってもいいわけ?」


「え?」


 珀斗くんの言葉に
 体中の血の気が引いて行くのがわかる。


 ……
 嫌だ……

 珀斗くんに明梨ちゃんを取られるなんて
 想像もしたくないくらい嫌だ。


 頭の中では『嫌だ』って
 拒否反応を起こしているのに、
 その思いは口から出てきてくれない。


「あっそ。
 お前が良いなら
 俺が今から明梨の部屋行って、
 あいつのこと襲うけど」


 なんだよ、それ!
 いいわけない。
 嫌に決まってる。絶対に嫌だ!!!


 俺は誰にも
 こんな瞳で睨んだことないってくらい
 怒りを帯びた瞳を向け、
 珀斗くんに言葉をぶつけた。