「学園祭のお前のピアノソロ聞いて
緑の物が多いんだろうなとは
思ってたけどさ。
この部屋…… 異常じゃねぇ?」
「どこら辺が?」
「ペンとか小物が緑なのはわかる。
カーテンや布団が緑なのも想定内」
だって中1からだから。
明梨ちゃんを意識して
緑色のものばっかり
買っちゃうようになったのって。
そりゃ、緑だらけになるよ。
俺色のピンクなんて
隅の方に追いやられてるし。
「机とかベッドとか、
自分で色塗ったよな?
テレビも。
は? 音楽プレーヤーまでかよ」
「……塗ったけど ……自分で」
「緑の壁紙なんて、ボコボコじゃん」
「それも……
俺が自分で貼ったから……」
だってしょうがないじゃん。
学園祭で明梨ちゃんと別れてから
明梨ちゃんロスのダメージが半端なくて。
寂しさみたいな心の穴を埋めたくて。
気づくと、緑のペンキ片手に
塗り塗りしちゃうんだから。
壁紙だって緑に貼りなおしたけど
それでも明梨ちゃんが
恋しくてしょうがないんだよ。
どうすればいい?
いっそのこと
窓も床も俺自身も緑に塗り替えたら
この寂しさ、無くなってくれるの?
「お前さ
明梨と付き合って浮かれすぎじゃね?」
浮かれてないよ。
反対に、海の底にへばりつくぐらい
落ち込んでるよ。
って……
え??
俺が明梨ちゃんと別れたこと
珀斗くんは知らないってこと?



