誰もいないステージ袖。
 段ボールの陰にしゃがみ込む。


 なんで泣けてくるのか。
 なんで涙が止まってくれないのか。
 自分でもよくわからない。


 ステージが無事に終わったことに
 ホッとして。

 マイクで喋れた自分に嬉しくて。

 一番近くで見た雅くんの歌とダンスが
 サイコーにカッコよくて。

 クラスのみんなが
 私のことを温かく応援してくれていて。

 でも、あんな司会で良かったのか
 不安で不安で。


 いろんな思いが混ざったものを
 吐き出すかのように、
 声を殺して、ヒックヒック泣いた。


 その時

 頭の上に優しさの温もりを感じて
 涙をぬぐいながら恐る恐る見上げると
 穏やかな瞳が、私を見つめていた。