☆明梨side☆

 ラスト曲を歌い終わり
 ステージの下に降りた
 アミュレットの4人。
 そして、お母さんと翠さんも。


 それぞれが
 大勢の生徒たちに囲まれている。


 6つの台風の目を
 ステージの上から眺めながら、
 私は締めの言葉と共に頭を下げた。


「以上を持ちまして、アミュレットの
 ステージを終了いたします。
 お集まりいただいたみなさん、
 本当にありがとうございました」


 雅くん達に夢中で、ステージ下の誰も
 私の声なんて聴いてない。
 その状況に笑えてくる。


 ステージでマイクを通して喋ったのに
 笑える余裕がある自分に嬉しくなった時、
 講堂のある一角から
 温かい拍手が聞こえてきた。


「明梨~~!」
「サイコー!」


 声の方に目を向ける。

 
 あ……
 毒々しいショッキングピンク集団だ……


 ビビッドピンクのクラスTシャツを着た
 麻帆ちゃんや志乃ちゃん達。
 10人くらい。


 私たちが編んだピンクのシュシュを手に
 飛び跳ねながら
 私に手を振ってくれている。


 麻帆ちゃんなんて
 ボロボロに泣いてくれているし。


 ダメだ……
 そんなみんなの笑顔見たら
 ホッとして涙が溢れてきちゃうじゃん!


 口元を覆っていた手に雫を感じ
 私も泣いているんだって気がついた。


 ステージの上で泣いている自分が
 恥ずかしくなって、
 応えるように麻帆ちゃん達に
 小さく手を振っから、
 私はステージ袖に逃げ込んだ。