「これも…… お守りだから」


俺の言葉に、恥ずかしそうにうつむく明梨ちゃん。

 
うつむかないで。

俺だけをちゃんと見ていて。

これからもずっと。


そう願いながら明梨ちゃんの顎をクイっと持ち上げると、明梨ちゃんはゆっくりと瞳を閉じた。

明梨ちゃんへの想いが、全部届くように。


俺は柔らかい唇に、そうっと自分の唇を重ね合わせた。




キスの後。


「お守り、2個ももらちゃった」


火照ったままの頬で、照れ隠しのように無邪気に笑う明梨ちゃん。


良かったぁ。

さっきまで緊張で体が震えていたけど、今は大丈夫みたい。


「じゃあ、スタンバイしよっか」


「うん。すっごく楽しみにしてるね。雅くんの歌とダンス」


とびきりの笑顔を俺に向け、明梨ちゃんはパタパタとステージ袖に向かって走り出した。