へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目


その時、いきなり客席の方が騒がしくなった。

キャーキャー声の中心にいる人に、ピントを合わせる。


あれ?

百目桃華さん?

お客さんをかき分け、かき分け。

ステージに向かって歩いて来てるし。

俺は驚き顔で、綾星の肩に両手をかけた。


「綾星あれって……明梨ちゃんのお母さんだよね?」


「相変わらず人気やべーな」


「どうして? こっちに向かってくるけど」


「雅、早く明梨ちゃんを迎えに行けよ」


「だってこの状況で……」

明梨ちゃんとお母さん、絶縁状態なんだよ。

それなのに、ステージで再会なんてことになったら。

どんな悲劇が起こるのか、わからないじゃん。


「とりあえず俺、明梨ちゃんのとこ行ってくる。お母さんに会わせないようにしなきゃ」


「大丈夫」


「綾星が絶縁状態だって知らないから、そんなことが……」


「明梨ちゃんのお母さんをここに呼んだの、俺だから」


な……なんですと?

なぜ、一波乱を起こそうとするかな。


「雅、世界が終わったみたいな顔すんなって」


いやこの状況で、アイドルスマイルでニコっなんてムリ。