その時、いきなり客席の方が騒がしくなった。
キャーキャー声の中心にいる人に、ピントを合わせる。
あれ?
百目桃華さん?
お客さんをかき分け、かき分け。
ステージに向かって歩いて来てるし。
俺は驚き顔で、綾星の肩に両手をかけた。
「綾星あれって……明梨ちゃんのお母さんだよね?」
「相変わらず人気やべーな」
「どうして? こっちに向かってくるけど」
「雅、早く明梨ちゃんを迎えに行けよ」
「だってこの状況で……」
明梨ちゃんとお母さん、絶縁状態なんだよ。
それなのに、ステージで再会なんてことになったら。
どんな悲劇が起こるのか、わからないじゃん。
「とりあえず俺、明梨ちゃんのとこ行ってくる。お母さんに会わせないようにしなきゃ」
「大丈夫」
「綾星が絶縁状態だって知らないから、そんなことが……」
「明梨ちゃんのお母さんをここに呼んだの、俺だから」
な……なんですと?
なぜ、一波乱を起こそうとするかな。
「雅、世界が終わったみたいな顔すんなって」
いやこの状況で、アイドルスマイルでニコっなんてムリ。



