「俺たちがステージに立ってんのに、なに観客に混ざってんだよ。お前は、こっち側の人間だろうが!」
マトイ君、叫ばないでってば。
こっち側の人間?
違うよ。
私は無責任に、ステージを降りた人間だよ。
前みたいには戻れないんだよ。
「お前が俺に文句言いまくったあの曲、最後にみんなで歌ってやるから。今すぐステージ上がってマイク持て!」
マイク持てって……
今から私に司会をさせる気?
それも曲は『LOVEバドラー』だよね?
ダメだよ……
私がステージに立ったら、また同じことになっちゃう。
あらゆる方向から飛んでくる視線が怖くて。
声が出なくなって。
また逃げ出しちゃう。
助けを求めたくて、お母さんの方を見た。
「強烈なラブコールね」
「お母さん!!」
助けて欲しいのに。
何よその、ニヤケ顔は!
「司会やってみたら?」
「ムリだよ、私には」
「大丈夫。明梨なら絶対に」



