「ちょ……ちょっと……お母さん、放して!!」
「逃げようったって無理よ。こう見えてお母さん、高校卒業までは朝5時起きで、あらゆる武道をやらされていたんだから」
ちょっと、苦しい……
息ができない……
娘にどんな技、かけてるのよ!!
「わかった。聞くから、雅くんの歌!」
苦しさの限界で、お母さんの腕を力いっぱい叩く。
やっとお母さんが、私を解放してくれた。
「明梨、苦しかった?」
「苦しかったに決まってるでしょ!」
「雅くんもかなり長い間、苦しんでいたみたいだけどね。明梨のせいで」
え?
それって、どういうこと?
お母さんに聞き返したかった。
問い詰めたかった。
でも私の耳は、聞こえてきた雅くんの弾くピアノに反応した。



