「明梨と翠ちゃんの司会。決定的な違いって何かわかる?」
「翠さんは華があって……アナウンサー並みに、しゃべりがうまいとこ……」
「そんな違い、たいした問題じゃないわよ」
「じゃあなによ」
「翠ちゃんは、自分の司会を評価されたい。自分の言葉で、お客さんを笑わせたい願望が強いの。だから曲紹介の度に、アミュレットが作り上げた世界から、お客さんは現実にフッと引き戻される。かなり強い引力でね」
「私の司会だって、お客さんを現実に引き戻しちゃってたもん」
「明梨は、徹底的にアミュレットを引き立てる司会をするでしょ?」
「え?」
「明梨の司会は、いわば語りね。曲の世界にお客さんを引き込むための、ナレーション」
「……」
「お客さんの感情に神経を尖らせて、自分もファンと同じように楽しむことで、今お客さんが欲しい言葉や雰囲気を紡ぎ出す」
お母さんは、気づいてくれていたってこと?
私がアミュレットの司会に立つ時に、一番大切にしていたことを。



