リハーサルの後。
誰もいなくなったステージの上。
ピアノに置き去りの楽譜を見つけた。
手書きの楽譜。
丸っこい文字が懐かしい。
歌詞を読めば読むほど、わかってしまう。
この楽譜をかいている時の雅くんは、きっと幸せだったんだろうなって。
翠さんの笑い声が染みついているこのステージから、今すぐ逃げ出したいのに。
雅くんの書いた楽譜から、瞳をそらしたくない。
もう少しだけ、独り占めさせて。
この楽譜が、他の人を想って書いたものだってわかっている。
でも……
もうすこしだけ。
このまま。
その時、雅くんが講堂に入って来た。
ひゃっ!
心臓が止まるかと思った。
どう息をすればいいか、わからないとさえ思った。
顔を見たら、余計に気づいちゃった。
やっぱり私、雅くんのことが大好きだって。
どうしようもないほど深く。



