でも私の耳は、やっぱりこの声に反応してしまう。
聞いたら傷つくってわかっていいても、学習してくれなくて。
大好きな声を求めてしまう。
耳を塞いでいた手を緩め、大好きな人の歌声を欲しがっていた心の奥に届けた。
ゆったりとした心地よいピアノに乗せられた言葉。
聞けば聞くほど、胸が締め付けられて苦しさが増す。
ねっ、言ったとおりだったでしょ?
雅くんの声を聞いたら、苦しくなるだけだって。
自分に問いかけても無駄だよね。
だって私の体は、雅くんを五感で堪能するようにできあがっているんだから。
雅くんの歌声が脳に届くたびに、伝わってくる。
翠さんのことが、好きで好きでしょうがない。
まっすぐで一途な、雅くんの想い。
私は雅くんに、この学園にきてほしくなかったよ。
だって雅くんが来なければ、翠さんと出会わなかったでしょ?
そうすれば嫉妬がこんなに苦しいなんて、知らずに生きられたのに。



