「お待たせいたしました。高杉雅くんで『GREEN THINGS』です。どうぞ」 翠さんのしっとりとした声に促され、俺は観客が誰もいない講堂に向かってピアノを弾く。 明梨ちゃん。 本番では、この歌をちゃんと聞いてね。 明梨ちゃんが目の前にいるだけで、心臓がバクバクで。 ずっと温めていた想いを、伝える勇気なんて湧き出てくれない。 そんなヘタレな俺が、この歌に甘い想いを詰め込んだから。 瞳を閉じる。 大好きな明梨ちゃんを思い出しながら、俺は明梨ちゃんへのラブソングを講堂に響かせた。