俺はステージ袖の、パイプ椅子に座る。

まるでボケと突っ込。

コントのような二人のトークを、ぼんやりと聞いていた。


いつもなら、プッて吹き出しちゃうほど面白いのに。

今はそんな気になれない。

それくらい自分の気持ちが沈みこんでいる。


原因は間違いなく、廊下ですれ違った明梨ちゃん。


なんで、珀斗くんに手を引っ張られていたの?

なんで、切なそうな瞳で俺のこと見つめたの?


なんで? なんで? なんで?


考えても答えがでない問いが、脳みそをぐちゃぐちゃにかき混ぜる。


たまに見せてくれるよね。

俺と翠さんが話している時。

苦しそうな表情を。


それって、嫉妬をしてくれているの?

それとも、俺がそう思い込みたいだけ?