なんてを言ったらいいかわからない。

珀ちゃんも何も口にしない


しばらく続いた無言の時間。

どうしていいかわからなくてうつむき続けていたとき、珀ちゃんの苦しそうな声が降ってきた。


「オマエさ、もう俺に話しかけんな」


ハッとして、珀ちゃんの顔に目を運ぶ。

珀ちゃんは私に背を向けたまま、優しさを含んだ穏やかな声を発した。


「TODOMEKIの姫もやめろ。オマエがいると、仲間の前で胸張ってらんねーから」


「……うん」


珀ちゃん……ごめん……

本当に……ごめんなさい……



珀ちゃんが振り返った。

唇をぎゅっと噛みしめて、床に目を落としている。


珀ちゃんのこんな苦しそうな顔、初めて見た。

そんな顔をさせてしまったことに、私の胸が押しつぶされるように痛む。


珀ちゃんは顔をゆがめたまま、私の頭に手を乗せゆっくりと2回撫でると、講堂の出口に向かって歩き出した。

私は珀ちゃんの背中を見つめたまま、立ち尽くすことしかできなかった。