へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目


珀ちゃんがゆっくりと、私の横を通り過ぎた。

目で追いながら振り返ろうとしたとき、私の耳にふわりと吐息が。

ドクンドクンと心臓が飛び跳ねてしまう。



な……なに

この状態……


今度は後ろから抱きしめられている。

逃げ出したくても、珀ちゃんの腕の力が強くて逃げられない。


耳にかかる生温かな吐息が、言葉に変わった。



「俺んとこに来い。明梨のこと、ずっと守ってやるから」



甘くて。

でも力強くて。

そんな珀ちゃんの声が耳の奥の奥に届いて、脳がとろけそうな感覚に陥ってしまう。



「珀ちゃん。なかったよ……。胸キュンメニューに……こんなの」


「あるわけねーじゃん。これ、マジなやつだから」


それって……どっち?


甘い言葉をささやいて。

冗談だって突き放して。

また、とろけそうな言葉で包み込んで。


本気なの? 

冗談なの?

私には……わからないよ。