珀ちゃんがゆっくりと、私の横を通り過ぎた。
目で追いながら振り返ろうとしたとき、私の耳にふわりと吐息が。
ドクンドクンと心臓が飛び跳ねてしまう。
な……なに
この状態……
今度は後ろから抱きしめられている。
逃げ出したくても、珀ちゃんの腕の力が強くて逃げられない。
耳にかかる生温かな吐息が、言葉に変わった。
「俺んとこに来い。明梨のこと、ずっと守ってやるから」
甘くて。
でも力強くて。
そんな珀ちゃんの声が耳の奥の奥に届いて、脳がとろけそうな感覚に陥ってしまう。
「珀ちゃん。なかったよ……。胸キュンメニューに……こんなの」
「あるわけねーじゃん。これ、マジなやつだから」
それって……どっち?
甘い言葉をささやいて。
冗談だって突き放して。
また、とろけそうな言葉で包み込んで。
本気なの?
冗談なの?
私には……わからないよ。



