へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目


前を歩く麻帆ちゃんが足を止めたのは、屋上に続く階段。

屋上は鍵がかかっているため、この階段には誰もいない。

うつむいたままの麻帆ちゃんが、重い口を開いた。


「明梨。雅くんのことで、何か隠してるでしょ?」


あっ、そのことか。

……隠しているよ。

麻帆ちゃんにも、ずっと黙ってきた。


でも、ごめん。

雅くんとのことは、誰にも言うつもりなんてないの。

大好きでたまらない麻帆ちゃんにも。


これ以上詮索されたくなくて、私はなんとか笑顔を作る。


「隠していることなんてないよ。麻帆ちゃん、何か勘違いしてない?」


「だっておかしいじゃん」


「えっ?」


「辛そうな顔で雅くんのところに行って。泣きそうな目で戻ってきたなって思ったら、ストップウォッチを雅くんの机に置いてまた戻ってきて」


「あれは……借りていたものを返しただけだから……」


「今思えば、あの時だって変だった」


「あの時?」