「珀ちゃん、背中痛かったんだけど」


「オマエは子供の頃、ここに立って何を見てたわけ?」


「……何って」


「俺はすげー好きだったんだからな。ベンチに座りながら、桃花さんのマネをする明梨を見てんの。オマエ、目をすっげーキラキラさせてたろ? 滑り台のてっぺんに立ってさ。木の棒をマイク代わりにして、司会っぽく話して」


「……」


「それなのに、今のオマエはなんだよ。瞳ん中、闇でも飼ってんの? あんときの情熱はどこにやった? 背中なんて、惨め以外のなにものでもねーのな。自己防衛中のハリネズミみたいに、情けなく丸めまくってて」


「私の背中……棘なんてない……」


「そんなに何かに守って欲しければ、俺が守ってやる」


「えっ?」


「辛いことがあったら、心に空いた穴くらい俺が塞いでやるから」


「……」


「桃華さんを超える司会者になるって夢、絶対に諦めるな」


「……」


「オマエが一番輝ける場所は、学校でもTODOMEKIでもない。ステージの上だけなんだからな!」