あの日のことを思いだすと、心臓をえぐられたような痛みに襲われて

『後悔』という名の、ねちょねちょお化けに付きまとわれる。


お化けさん、今も俺の背中に引っ付いてるよね?


お願い。今だけでいいからお願い。

俺の背中からいなくなって。

お金をあげるから、大人気カフェでパフェでも食べてきてよ。


そうしてもらわないと、ヘタレな姿で明梨ちゃんと再会することになっちゃうから。



背中のお化けを振り払うように、肩を左右に揺らしてみた。



「緊張しているのかな?」


のほほんとした先生の声で、はっと我に返る。


「大丈夫です」


得意のアイドルスマイルを見せたら、先生も安心してくれたみたい。


でも俺の心の中は、心臓が肌を突き破って飛び出してきそうなほどのバクバク状態で。


緊張のリミッター。

今すぐ外れそうなんですけど……