「ありがとう。明梨ちゃんに俺たちのライブを楽しんでもらえるように、練習頑張るね」



だから、その笑顔も反則だってば。

さっきまで泣きそうな表情だったのに。


くるっと180度表情が変わって、はじける笑顔を見せられたら、

心臓がキュンキュン音を立てて、ドキドキが駆け出しちゃうんだからね。



人の心を掴んで、虜にする。


それが雅くんで

それがアイドルなんだよね?



いつの間にか止まっていた私の涙。

雫の後をこする私に、跳ねるような声が耳に届いた。


「ごめんね。お弁当食べるの、中断しちゃったよね」


「ううん」


「はい、エビフライと唐揚げ。明梨ちゃんにあげる。今日は、明梨ちゃんをお昼に誘おうって思っていたから、朝から手の込んだおかずを作ったんだよ」