「他人事みたいに言ってるけど、雅くんも何度もあったからね」
「たまにだったでしょ? 変更した方がいいライブになるって直感したときには……つい……」
「それでいいと思う。お客さんが喜ぶように、どんどん変えていけば。それに合わせるのが、私のお仕事だったから。直前リハーサルの後は変えないでって、切実に願ってたけど」
「明梨ちゃんも、俺たちに振り回されていたんだね」
「今頃気付いた? でもね、その緊張感が楽しいって思えていたんだ。特に、アミュレットの専属司会になりたての頃は。
アミュレットのみんなはステージで歌って踊って、ライブに来てくれたファンの子たちをアミュレットの世界にひきづりこんでいたでしょ?
ファンの子たちは魔法にかかったみたいに、キュンキュンさせられて、ゾクゾクさせられて。ステージが終わるまで、非現実な世界を堪能するの。
その世界を、私は絶対に壊しちゃダメで。
マイクを通した私の言葉は、夢物語のナレーション。
それが、私の目指していた司会かな」



