「お父さんとお母さんの話はしないでって、いつも言ってるでしょ」


「明梨、スマイルが大事だよ。ほら笑って笑って、笑顔笑顔」


「姪っ子のほっぺをツンツンしないで。恋ちゃんニヤニヤしすぎ!」


「朝から甘吠えの明梨見てると、子供の頃の桃と重なっちゃう。懐かしくて頬が緩んじゃうよ~」


「だから、私とお母さんを重ねないでってば」


「アハハ~ 俺の姪っ子は世界一可愛いなぁ。 ところで明梨、時間大丈夫?」


今朝はお弁当をつくらなくてよかったから、時間なんて余裕余裕……って。

あっ、もうこんな時間か。

(はく)ちゃんが来ちゃう。

外で待ってないと。


「じゃあ恋ちゃん、学校に行ってきます」


「行ってらっしゃい。素敵な一日を~」


穏やかな笑顔の恋ちゃんに見送られ、私は家の外に出た。

まだ珀ちゃんの姿はない。

お店の壁にもたれながら青空を仰ぐ。