同感だよ。
ステージの上の明梨ちゃんは、間違いなく輝いていた。
明梨ちゃんは司会者というよりは、舞台俳優に近かったのかもしれない。
ただ曲名を紹介するだけじゃない。
曲の雰囲気、お客さんの気持ちを読み取りながら、まるで物語を語るかのように言葉を紡いでいく。
声の高さ、太さ、語るスピード。
ゆるく、激しく、優しく、力強く。
いろんな声を使い分けて、お客さんをアミュレットの世界に引き込んでいく。
ステージに飛び出すたび、俺は味わっていたんだ。
明梨ちゃんが作り上げた世界に飛び込んでいく、沸き上がるような最高の快感を。
今でも忘れられない快感だし、もう一度あの感覚を味わいたいと願ってしまう。
でも明梨ちゃんは、司会なんてしたくない。
お客さんの視線が怖くて、ステージで声が出なくなる経験なんて、もう二度としたくないと思っている。