「原因は『司会をやめる』って桃華さんに伝えて、キレられたこと。あと暴走族の姫になりたいって十環さんに言って、反対されたせいだな」
「反対するなんておかしくない? だって明梨ちゃんのお母さんも『姫』だったんでしょ?」
「ま、桃華さんはバケモン並みに強かったからな。子供の頃から、武道とか格闘技やらされててさ。中1の時なんか、ヤンキー20人を素手で倒したらしい。TODOMEKIで危ない目にあっても、自分で自分を守れるくらい強かった。でも、明梨は違う。ケンカなんてもってのほか。武道経験もない、ただの女子高生。だから十環さんも、心配でしょうがなかったんだよ」
「明梨ちゃんのお父さんが、心配する気持ちもわかるよね」
「俺はさ、親と絶縁状態の明梨をどうにかしたいわけ」
「そうだよね」
「それにさ、明梨にはステージの上でマイクを持ち続けて欲しい。ライブの司会をしてる時の明梨、生き生きしてたから。雅もそう思っただろ?」