へたれアイドル卒業します アミュ恋1曲目


「テキトーに座って」


「あ、うん」


連れてこられたのは、珀斗くんの部屋。

丸い座卓が置かれたカーペットの上に、ぺたりと座り込む。


明梨ちゃんのお父さんがいた時は、勢いでしゃべることができたけど。

この部屋に入ると、何を話していいかわからない。

口が開こうともしてくれない。


8畳くらいの部屋に、恋のライバルと二人だけ。

居づらい。

緊張する。

何か話さなきゃ。



付き合い始めのカップルか!

自分に突っ込みを入れてみたけど、そんなんじゃ俺のドキドキは収まらなくて。

必死で共通の話題を探す。


共通の話題って言ったら……やっぱり、明梨ちゃんのことだよね?

でも明梨ちゃんの何を話せばいい?


いっつも笑顔だよね。

髪がサラフワだよね。

辛いときでも強がって笑うところ、心配だよね?


どれもムリだぁぁぁ……

明梨ちゃんのことを思いだすだけで、俺の体温が一気に上がっちゃうし。

ドキドキしてきちゃって、余計に声が出なくなっちゃう。