曲の宣伝でテレビやラジオに出演したときも、県内最大級の音楽フェスで歌った時も、一緒に仕事をさせてもらったよ。
挨拶したけれど、明梨ちゃんの母親なんて名乗ってはいなかったし。
「十環さん。雅の奴が脳処理追い付かないみたいだから、俺の家に連れてくわ」
「え? 俺はまだ聞いてないんだけど。今日の明梨が、学校でどんな感じだったのか」
「はいはい。今日の明梨も、元気だったしかわいかったですよ。これでいいっすよね?」
「はぁ?」
軽くあしらうような珀斗くんの言葉に、明梨ちゃんのお父さんの表情が一変。
悪魔のような濁った瞳で、珀斗くんを睨みだした。



