「なんで幸せ胸キュン曲の時、表情が陰っちゃうのよ」


「俺、そんな顔して歌ってますか?」


「してるわよ。お客さんは気づいてないかもしれないけど、私にははっきりわかる。だって雅は中学まで、とびきりの笑顔でハッピーソングを歌ってたじゃない?」


「そうだったかなぁ……?」



とぼけてみた。

でも、自分でもわかっているよ。

幸せなラブソングを、目を輝かせて歌えなくなったって。



しょうがないじゃん。

俺自身の恋が、ハッピーじゃないんだもん。


消し去りたいぐらい苦しい恋に、押しつぶされそうなんだもん。




「今のままじゃアミュレットが全国デビューできたとしても、すぐにアイドル業界から消えるわね」


「そんなぁ。今まで以上に、歌もダンスも頑張りますから……」


「だから、雅! 努力するところが違うから!」


「……っ」


「はぁぁ~もう! なんで雅はこんなにヘタレなのよ!」


「ヘタレって……」


「雅は、へたれ。間違いなく、へたれアイドル!!」



うっ……。


図星すぎて、返す言葉もありません。