-----------------------------

頭からつま先まで俺にくっついて眠る美月


うっすらと浮かぶ頬の傷跡をなでながら思う




この華奢な、折れそうなか弱さで
どれだけの辛い過去を経験してきたのかと




俺の過去を話し、刺青を見せたあと、
美月は自分の過去を話してくれた




両親の死は自分のせいだということ


自分のせいで、たくさんの人を不幸にしてしまったということ


叔父のいない家で何度も暴力にあい、その息子に何度も汚されたこと



でも叔父を悲しませることはしたくないと

それを言うことが出来なかった、と






想像を絶する、ひどい過去だった




俺が美月をあの海で助けた日、

美月は死ぬ勇気なんてなかったと言う


死ぬのは怖かった

でも体が勝手に動いていた、と





それほどまでに追い詰められていた美月は今、
俺にぴったりくっついて幸せそうに眠っている




『お前を守りたい』


いつか言った俺の言葉が、どれだけ無責任だったのかを思い知った





両親の事故は、美月のせいなんかじゃない


もう自分を責めないで欲しい




いつでも人のことを考え、自分を責め

自分を犠牲にしてきた美月




これからは自分のために、自分の思うままに
生きて欲しいと願った