貴方が例え誰を心の底から好きでも

僕はそれ以上に貴方のことが好きです。


…少し酔っ払ってしまったかもしれない、いけない。

いつものように五十嵐さんのBARで飲んでいたら、視界がぐらりと歪んできた。

飲み会帰りだからかな。それとも疲れているからか…どちらにせよ五十嵐さんに迷惑をかけるわけにはいかない。ここは退散して、また後日ー…

ガタン。パリン、バタン。

「ゆう?!」

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「…いった」

「よかった、気がついた!」

「!?」

「あ、起きない方がいいよ。寝ときな?」

「あの、僕、」

「立ち上がった時、いきなり倒れて。救急車呼ぼうとしたけど、目が覚めてよかった」

…最悪だ。やってしまった。迷惑かけないようにってあれだけ…

「ごめんなさい五十嵐さん!僕、とんだ、ご迷惑を…!」

「いや、大丈夫。俺、慣れてるし。というか最近ゆう、会社でいろいろあったみたいだし、疲れてたんだよ。店は閉めたから、少し休んでから帰りな。ほんと無理、するなよ」

ぽんぽんと頭を撫でてくれる、やさしい五十嵐さん。泣きそうになる、ああ、こんな時でも貴方は。

「…きです」

「え?」

「五十嵐さん…すき、なんです…」

つい口をついてでた言葉に、驚いた。

だけど言葉は取り消せない。

五十嵐さんの困った顔が、それを如実に現している。