「おい、ぼんやりしてどうした?」

アテナに顔を覗き込まれ、ロネは「ご、ごめん!!」と謝る。アテナは不思議そうな顔をしていた。

ネイサンとアテナのことで揉めて数日。アテナといつものようにロネは会っているのだが、最近はぼんやりしてしまう。

学校などで、ロネはネイサンを避けている。ネイサンはロネにアテナのことを言いたそうにしているが、聞きたくないのだ。

「お前、何かあったのか?パンも全然食べていないぞ」

アテナがロネの手元を指差す。おやつとして持ってきたクリームパンにロネはほとんど手をつけていない状態だった。食欲が全くない。しかし、アテナがおいしそうに食べる様子を見たくておやつは持ってくる。

「……アテナ、これ食べていいよ。食欲が最近なくってさ」

「あ、ありがとう……」

アテナにクリームパンを渡し、ロネは森の木々を寝転がって見つめる。自由な鳥のさえずりが耳に聞こえ、ロネはアテナと鳥になれたらいいのにと思ってしまった。