「ただいまー!ん?」

帰宅すると玄関には兄貴とパパ以外の大きな靴が二つ並べてあった。

「未茉ちゃぁああーん♡♡おかえなさぁーいっ♡」
「何そのテンション・・・」
ハートを飛ばしながら出迎えてくれるママに悪寒が走る娘。

「ふふ!遅かったじゃなぁーい!!あっ、もしかして湊君と一緒だったの?」
「おう、送ってもらった。」
「えーっ!!!会いたかったのにぃ!!!もぉっ!!何で上がってもらわないのよっ!未茉ちゃんってばぁあ!」
「終電ギリギリなんだよ。」
「あらぁあーん!!泊まってけばいいのよぉー!!」


「てか、誰か来てんの?」
「来てる来てるっ!♡♡早く早くさっさっ!」
強引に急かすママに背中を押されて未茉はリビングへと誘導された。

「え、何々。」

真っ暗に照明を落とされたリビングの扉を開くと、

ぷぁぁあああんっ!と本日二度目のクラッカーの爆音と共に紙吹雪が飛んできて
「「16才お誕生日おめでとう!!」」

「たっ…健兄!!匠兄っ!!!」
渋々祝う弟達の横でソファーに悠々と腰かけてクラッカーを未茉に向ける二人がいた。

「おせーよ。何時間待たすんだ。」
呆れるも笑顔の健に、
「お誕生日おめでとう未茉。」
優しい笑顔で微笑む匠に、

「なんで!ここに!?インターハイは?まさかもう敗退しちゃったの!?」
「バカやろ!俺ら王子がそんな簡単に負けるかよ。」
「えー、うちに負けたじゃん。」
「あれは歴史上類を見ない王子の数少ない汚点だな。」
「嫌な奴ー!健兄!!」
あははっと顔を見合わして笑い合った。