「曇ってるじゃーんっ!!」
真っ暗な空を見上げて未茉は残念そうに嘆きながら腰をかけた。
「星……ないなぁ。」
さすがに翔真も苦笑いするしかなかったが、
「探しとくか。」
「おう!!」
芝生に投げたバッグに頭をのせて未茉は寝っ転がって曇った空の中に星を探す。
「最高の誕生日だなー!」
「ん。」
喜んでる姿を見ながら翔真も隣に腰かけた。
「誕生日ならサービスして流れ星も流れてくれそうじゃね!?」
「ん・・・??」
それはどこからのサービスを受けるんだ??とぽかんとして首を傾げる翔真。
閑静な住宅街の丘でさわさわと木々の葉が風で揺れ騒いだ。
湿度が下がる夏の夜は、吹き抜ける風が心地よく未茉は目を閉じて思い返した。
「16才は全国へ行けるように頑張るぜ。一年のみんなが試合出れるように。そんで二年とも仲良く……とはいかなくともいいチームになるようになりたいなぁ。」
流れ星へのお願い事をまとめてるこんな独り言を黙って聞いてくれる翔真の穏やかでゆったりとした空気感は居心地がいい。
「なれるよ。」
肯定を裏付けるように翔真は空を見上げて指差した。
「ほら、星出てきた。」
「えーどこ?」
「ほらあそこ」
「えぇ~~~ちっちゃえ!!!願い事叶えてくれなそー。」
「未茉ちゃんの願い事、俺が叶えられるように手伝うよ。」
顰めっ面で文句を垂れてた未茉は、その言葉に顔をあげると翔真はバッグから取り出したリボンのついたラッピングされた袋を手渡す。
「何これ。」
「え、逆に何に見える?」
「質問で返すなよ。あけていいやつ?」
「うん。プレゼントだからね。」
「えっ!?もしかして誕生日プレゼント!?」
「普通誕生日に何か渡されたらプレゼントだって思わない?」
ここまで鈍いかと呆れ顔の翔真なんてお構いなしに未茉は驚いて起き上がり、プレゼントラッピングの意味もなく袋をビリビリと破いて豪快に開けていく。