「痛ッ……!」
新キャプテンの前原が練習中、突然ふくらはぎを押さえてしゃがみこんだ。
「「前原!?」」
「「前原さん!?」」
みんなも練習を中断し慌てて駆け寄ると、前原の苦痛に満ちた顔はただ事ではないことを感じていて、
「前原さん!乗って!!保健室行きまっしょ!!」
未茉がおんぶしようと彼女の前でしゃがむも、
「誰があんたのおんぶになんか・・」と拒まれてしまい、
「いや、足は動かさない方がいい。」
監督と新米が職員会議でいなかった為、隣のコートにいた男バスの橘が前原さんをお姫様だっこをして軽々担ぎ上げた。
「肉離れっぽいな…」
とりあえず保健室に運び、応急措置を受けた前原は親のお迎えを待つ間、橘が症状見ながら言った。
「そうなんだ……」
なんとなく嫌な予感がして保健室までついてきてしまった未茉は心配でならなかった。
「もういいから練習戻んなよ。」
痛めた足を押さえ視線を落としたまま前原は未茉に冷たく言った。
「教室や部室から荷物持ってきましょうか?」
「いい。矢野に頼むから」
予選であんなに激闘を戦って嫌でも心通じたかと思ったが、よほど嫌われてるのかいまだにまともに目を合わせようともしてくれない前原に未茉は、少しだけ寂しそうに背を向けて
「お大事に。」
保健室を出てくと、
「白……」と言いかけたが、扉を閉めた後だった。