「おーっ!翔真っ!!変更だよ!!変更っ!!」
「変更?」
「うん!合宿先がな」
ウキウキとした表情でいつものように翔真の背中に手を回して話しかけた時、
「ハッ!!!」
昨夜の突然の翔真からのキスを思いだし、その至近距離に思わずピタリと体がフリーズして
ーーードンッ!!!と勢いよく翔真を押し離れた。
「そうだ忘れてた!!!近寄んなっ!!」
未茉は翔真を指差して威嚇し、一定の距離を保った。
「痛い……なんなの朝から」
「なんなのはこっちの台詞だっ!!とにかくいいかっ!!接近禁止令だからなっ!!!」
目くじらをたてて怒ったまま、自分の机をガタガタと音を立てて翔真から引き離し
「キタロー!!わりーけど席交換して!」
「白石の頼みなら。」
キタローは喜んで力強く頷き交換し始めた。
「えぇ~~………」
翔真は自分の前がいかつくゴツいキタローのシルエットに思いっきり嫌な顔をした。
「見えない・・・」
黒板の字がまるで見えないキタローだが、白石の頼みならば仕方ないと、心の目で黒板を見ることにした。
「・・・・」
一方、隣を見ても三上、斜め前は結城、目の前からは、まん丸で大きく鋭い片目で自分を訝しげに見つめるキタローに翔真は男臭さ全開で耐えられず、
「うー。ごめんなさい」
苦しみながら机に伏せ反省をするも時すでに遅し。
「うわ・・・なんか面倒くせぇ展開の予感・・」
結城が呆れたように言うと三上も「同意」と深く頷いた。