「三上までっ!!ばぁーかっ!!」
朝から体育館で追いかけっこをしてじゃれ合う未茉達を見て、

「こらー!!何をふざけてる練習だろっ!!」

「やべっ、ノムさんだっ!!」 
「白石ぃ~~だ・れ・がノムさんだ?!そんなに走りたきゃ走らせるぞ!!」

「ごめんなさぁーいっ!!」
あはははっ!と今度は自分から逃げる未茉を見て、

(元気で登校してきてよかった。)
怒りつつも、野村監督はホッと安堵のため息をついた。

(白石がいない昨日はお通夜のような練習だった。女子も男子も。口には出さなかったが皆、白石を思っていた。
女子のあの決勝戦は特にトラウマになってもおかしくないくらいだ。うちがインターハイに行ってもおかしくない程の接戦だったのだから。)

「結城お前なんだよ!!その下手くそなディフェンスはよー!そんなんじゃ駿に負けるぜ!?」
「うっせー!こっち来んな!」
男バスと交じって練習してる笑顔の未茉を見つめながら野村監督は思うのであった。

(三年が何人か引退して、これからまた白石を中心とした新しいチーム一丸となって東京ナンバーワンを目指さなければならない。)


「はぁあっ…。」
そんな中、女子の顧問の新米斎藤は憂鬱なため息をついた。
「どうしました…?」
隣でボールを磨くキタローが尋ねると、

「大成の監督の工藤さん…やっぱり人妻だって分かってるけど、綺麗だなって。あと、桜蘭学園の神崎監督もめちゃくちゃスタイルよくて品があって…でも声かけられなくて、こんなシャイな俺がマジで辛み!!!」

「・・・・」
コイツはあの激闘の試合でそんなとこを見ていたのか…と思うと殺意すら湧いてくるキタローであった。