「あま…」

少し離す唇が微かに触れ合う数ミリの距離で呟き、唇に残るチョコの甘さに笑う翔真の意地悪で優しい茶色い瞳に大きく映ったのは、ぴくりとも動けなかった自分の姿だ。


「これくらいのご褒美はくれないとね。」

親指で未茉の唇をそっとなぞりながら、上目遣いで彼女の反応を試すかのようにその目を覗きこむ。


バサバサバサッ……

体中の力が抜けた未茉が持っていたチョコクッキーの中身は一気に地面に溢れ落ち、

「おーいっ電車来……」振り返った結城達はそう言いかけ衝撃的光景にフリーズするのは、もちろん。

ザワザワッ……
ちょうど部活の帰宅時間だったので生徒達も「「きゃあっ!!」」と小さな悲鳴を驚きと共にあげて振り返る人が皆固まっている。



「……うん。翔真」

そしてもちろん未茉そのまま固まっていて、何が起きたのか全く分からない放心状態の後、気づくと口が開いていた。

「うん。」

満足げに未茉に視線を落とし微笑む翔真に、にっこり微笑み、


本日二度目の飛び蹴りが炸裂したのであった・・・。



「いっ・・痛ぇっ!!!」


「バカ翔真ぁぁああ!!!この変態が!!!」


「うわ・・・気の毒に」
「確かに東条はBで翔真はAか。そりゃやってらんないよな。」

あれくらい許されるくらい頑張ってる翔真を思うと結城も三上もいたたまれない気持ちであったのだ。

「悪しき歪みよ。神からの天罰よ。」
一方、体育館ではまだキタローの念が唱えられていた・・・・。