「なんか・・・よくよく考えると、なぜにこんな勝負を受けて立たなきゃならないのかが・・謎ッ!!!」

未茉は体育館でドリブルをしながらふとその矛盾に気づく。
「いいぞー白石!」
ヒューッと面白半分の男バスの見物客が冷やかす。
禅の旨さを知らない彼らは男相手にも引けを取らない天才未茉が余裕で勝つと思ってるからだ。


「何故にあたしが禅にこの身を捧げねばならない・・。そしてあたしは勝っても何も得しないのに・・・。」

そう頭の中の思考をぼそぼそと口にしていると、翔真が未茉の手からボールを奪い取り、

「俺が行く。」
「いや、いい!お前じゃ信用ならない。あたしが本気を出す。」

「信用ならない・・って。」
多分彼女の身を案じているのは、彼女以上に自分なのにその言われ様に傷つく翔真であった。



「何本勝負?」

シャツを脱ぎタンクトップになり用意の整った禅に未茉は尋ねた。

「10本。ハンデは?」
「ナメてんの?禅。」
「言っときますけど、今日の俺は本気ですよ。」

「くぅっ・・・」
背後に炎が見えるくらい燃えてる禅に未茉も身の危険を感じ、

「な……7本・・・」
と答えるも、
「えっ、そんなもんでいいんですか?」
楽勝だと顔がすでに笑みがこぼれ、
「なんだ。そうか。素直に抱いてくれ。って言えないんですね。」

「な、わけねぇーだろ!!この変態が!!勝つ勝つ!!ずぅぇーったぁぁぁぁぁいに勝つ!!!」
負けず嫌いに火のついた未茉にクスッと禅は微笑み、
「まぁ、女が一番素直になれる瞬間は裸になる時って言いますしね。」

とても自分と一つ違いの中3のセリフとは思えずスッ転ぶ・・。

「お前は一体いつからそんなセリフ吐けるようになったんだよ・・・」