「おっはよぉーございまぁぁぁすっ!!!」

次の日の朝、未茉は勢いよく体育館のドアを両手で開けて大きな声を響かせながら挨拶すると、

「うぉッ…白石っ!!」
「「白石だっ!!」」
「大丈夫なのか!?」

朝練一番乗りの二年の橘と結城と三上が振り返り一斉に集まってくる。

「大丈夫大丈夫!へっちゃらっ!!もーバスケやりたくてウズウズして」

「そうか。でもなんか痛々しそうな包帯だな…無理するなよな?」
橘が心配そうに見下ろすも、
「問題ないっす!」とケロッとした表情で答える。

「あ、キタロー!プリンめっちゃくちゃ旨かったぜ!!本当にサンキュー!!!」

「痛そうだ……」
喜んで貰えたのは嬉しいが、あまりにも幼気な姿に涙を堪えるキタローはせめてももっと彼女が喜ぶ料理を作ってあげようと一人心の中で誓った。


「女の子が顔に傷なんて残ったらお嫁に行けないっていうだろ。可愛い顔してるのにもったいない。」
BIG3の中学時代からの先輩の橘は優しく大人の対応で微笑むも、

「心配いらないっすよ。傷よりも何よりも中身がヤバいから嫁には行けないっすよ。」
本当は未茉が元気に復活して嬉しいのに素直になれずにべぇーっと舌を出してからかう結城に、

「こぉらっ!!!待てぇ結城ぃい!!!」
ぷんっと怒りだして未茉は結城を追いかけると


「大丈夫。嫁なら俺が貰ってあげるから。」

ちょうど体育館にやって来た翔真がいいところを持ってくと、
「ずりぃっぞ!!俺が貰いたい!」
「俺だって!」
そこへ一年の男バス部員も続々と挙手し名乗り出ると、
「じゃー俺も貰おうかな。」
とノリで橘も笑いながら続く。

「そんな流れだけど俺はいらないよ。」
三上は遠慮なく手を横に振ると、

「「ぶっあはははっ!!!」」
久々にみんなの明るい笑い声が体育館に響く。