「道聞かれただけだって。じゃーな。」
そう流すも翔真は未茉の手を引っ張り、

「ごめん。」

「は?何がごめん??……」と言いかけた時、

ーーーベシッ!!!
禅は目の前で未茉の手に触れる翔真の手を思いっきり叩いた。
「痛ぇ・・お前・・」
「ふん」
そっぽ向く禅にさすがの翔真もキレた。


「やんのか東条?」

「当たり前だ。」


受けて立つ禅に普段のおっとりした翔真とは別人の荒々しい口調で微笑むと、


「お…温厚な翔真がキレてんの初めて見た…」
「俺も…」
「基本的に優しいけど白石が絡むと闘志むき出しになるからな。アイツ」
結城と三上や男バス部員達が怖いもの見たさで驚く。


「勝ったら俺が先輩と付き合う。」


「あ?」
「はっ!?」
翔真が睨むと同時に未茉も声をあげた。


「まさか禅・・先輩ってあたしのこと?」
力強く頷いた上に、
「他に誰がいるんです。」と横柄な態度を生意気にも取り始めている。

「なんであたしとあんたが付き合うのよっ!!アホか!」

思わず禅の制服を引っ張り問い詰めると、


「決まってるじゃん。ヤリたいから。」


「ヤッヤッ・・・!?」
平然と言い放つ禅に本日年下からの物凄いワードの連発に未茉は頭がクラクラとし目眩がしてきたのであった。


「じゃ俺が勝ったら俺が……」
と言いかける翔真にハッと我に返った未茉は、

「ダメダメ!!よしっ!!」

バスケットボールを受け取った未茉は、自分の身は自分で守ることにした。


「本気の勝負だからな。禅!」



「「え・・・」」

宣戦布告する未茉に禅と翔真は、緊張感から一転、顔をひきつらせた。