「あのよー、いっとくけど、あたしにとって禅は大事な後輩で、翔真も大事な仲間だぜ。」

「「……!」」

「バスケは一人で勝利を決めるスポーツじゃないチームプレーだからこそ同じ夢を持つ仲間がすげー心強いし、互いに切磋琢磨してここまで来た仲だよ。」

これで納得してもらえたかと思ったら、
「だからそういう建前をいいことに翔真さん振り回してませんか?」
まだまだ納得いかないようだ。

(し・・しつけぇ・・・)


「白石先輩自身はどう思ってるんですか?湊さんのこと!!」
「翔真のこと?」
「白石先輩も好きっていうなら私達身を引けます。でも好きじゃないならちゃんと湊さんを振って私達にもチャンスを下さい!!」

若さゆえなのか団体の強みなのかここまで恋の熱い想いをぶつけられた経験は初めてでさすがの未茉も一瞬たじろぐも、


「勘違いしてね?翔真を振るも何も、あたしと翔真はそういう仲じゃねーよ。」

そうきっぱりいい放った瞬間、女の子達も禅も驚いた表情を見せた。

「白石先輩が好きかどうかを聞いてるんですってば!!」
「なんとも思ってないなら、湊さんにその気がないことを…」
そう言いかけた時、静まり返ったその場に、バスケ部の男子が外周から次々に戻ってきて、

「ん?何やってんだ白石。女子もう走り始めてるぞ。」
二年の橘がその空気感を不思議に思いつつも、そう告げるも

「お、おう!すぐ行…」
「ズルイです!!」

「!!」
まだ言うかっ!と突っ込みたくなったが、気づくとその女の子の目からは一筋の涙が伝っていた。

「ズルイです……ズルイ。健さんだけじゃ飽き足りず、東条や湊さんまでも…!!」
「あ……」
ポロポロとこぼれ落ちてく涙に未茉は胸に痛みが突き刺さった。