「先輩、まさか東条と付き合ってないですよね?」

「まあ、正式な婚約はこれからだけど。」

「「ええっ!?婚約ぅ!!?」」
未茉よりも先に平然と返答して頷く禅に、女の子達には声をあげて驚く。


「禅・・いい加減にしろ。なんでだよっ!」
と未茉は冷静に否定し、ポカッと頭をごっつく。


「大体、先輩は少し男にだらしないです!!」

「男にだらしない・・!?初めて言われた・・」
「感心しないでください!!」
「い・・いや感心してるわけじゃなくて」

(男をもてあますだらしない女・・その悪女な絵図が想像つかねぇー・・・胸もないし。)
思わず自分の胸に視線を落とし、色気を確認する未茉に対し、隣で禅は奇妙な視線を注いでいた。
(AかBか…)


「その無神経さのせいで中学の時も先輩をいいことに東条と仲よくして東条の歴代の彼女達がどれだけ泣いてたか分かります?!」

「予選の時も高校バスケの大スターの健さんともわざわざ仲良しぶりを見せつけて!!」
「そう!!先輩はバスケを利用して何食わぬ顔で男を食い物にしすぎです!!!」

「く・・食い物!?」
またまた飛び出した物凄いワードに驚くも、シャレにならないくらいの怒りに満ちてる後輩達にさすがの未茉も一瞬怯んでると、


「なんだ。モテない女の僻みか。」

禅は嘲笑いながら目をやった。

「「ひど…」」
「東条最低っ!!」
幻滅する女の子達は
「俺でよかったら相手にしてやるぜ?半日で飽きられて捨てられていいんなら。」

「やめろ!禅!お前は」

「なんだなんだ…どうした?」
啜り泣く女子中学生の騒ぎに気づいた他の中学生達もこちらに視線を向け始めた。