「あの白石先輩!!」

部室から着替えて出てきた未茉を待ちかまえていたかのようにその子達は待っていた。

「はい?あ!」
さっき廊下で翔真に告白していた女の子達の顔に見覚えがあったのですぐに分かった。

「なんだ。王子中だったんだ!えっ、わざわざここ受験するの?!あ、もしかして落ちこぼれ組か?!」
さっきは制服までは見えなかったが、王子の制服の女の子達に親近感ぎわき、笑顔で聞くも、彼女達は少し怒った顔で笑顔もない。

「ん・・??」

彼女達は顔を見合わせながら意を決したように切り出した。

「湊さんのこと好きなんですか?」
「え?」
「好きじゃなきゃ仲良くしたりもて余したりするのやめてください。」
「もてあまっ・・・?!!」

まさか後輩からこんな単語を聞くなんて未茉は衝撃的だった。
(禅といい・・エリートの癖に勉強してんのかよコイツら・・)←決して人のことは言えない。


「ちゃんと聞いてます?!」
「お・おう・・聞いてるぜ。ごめんごめん。」

一方的な感情論にただただ未茉は驚いたが…その子達の訴える表情は必死そのものだった。

「そしたら私達にもチャンスが巡ってくるし、好きでもなんでもないのに湊さんを独り占めするのは、ズルイです…!!」


「何やってるんだ。お前ら。」

部活の時間になり、未茉のバスケを見に来た禅が同じ王子中の騒ぎにこっちらへとやってきた。

「禅!」
びっくりして振り返ると禅が女の子達を睨んでる。
「ちょ…大丈夫大丈夫。お前が口挟むと面倒になりそうだからな。」
未茉から厄介者扱いされた禅はムッとした。