教科書を立ててブツブツと読みあげる未茉に結城は「なぁ」と呼び、廊下を指し

「お前もしあの女の子達の誰かと翔真が付き合ったらどうする?」
「ないっしょ。」
もっと動揺すりゃいいのにさくっと答える未茉になんかムカつくと、

「なんで言い切れんの?」
「前に翔真言ってたろ。同じ気持ちじゃないと付き合わないって元カノで学んだってさ。恋愛は受け身じゃだめだとかどうとか。」

「「へぇ……」」
意外にも翔真の恋愛観は初耳な結城と三上はなるほど……と頷き、

(じゃ白石が自分のこと好きになってくれるのひたすらずっと待つ気なんだ。アイツ。)
‘ふーん。’と結城は翔真を見ながら優しいアイツらしいと思った。

「その割りには人に触ってきたりキスしろだなんだ言ったりどっか矛盾してるんだよなぁ!アイツは~。」

「お前がその矛盾を語るか・・・?」



「すっごい美男子見つけたぁー♡♡背は低めだったけど、目が綺麗でくりくりしててぇ品がありそうな感じぃ!」
「えっマジマジ!?」
「もー超絶イケメンッだった!マジ理想っ!!年下でもありだなっ!あれなら。」
きゃあきゃあと今度はクラスの女子がベランダから校舎に入ってくる中学生を物色して戻ってきた。

「あの制服は超エリートの王子中ねっ♡ふふ」
椎名達のグループが顔を赤らめながら胸を弾ませて話していた。

「ん?王子中?」
未茉は一瞬母校の名に首を傾げるも、

(超絶イケメン・・・?そんな奴いたっけなぁ?)

それが禅のことだとは全く気づかない未茉なのであった。