「よかった。元気そうで。」
「ん?」
「落ち込んでたらどう慰めようかと思ってた。」
横目で反応を確かめるように翔真に見つめられたが、
「え、何!!どうやって慰めてくれるの!?」
「何がいい?」
「ケーキ食べ放題か、大きなパフェが食べたい!!」
「あははは」
身を乗り出してリクエストする未茉に翔真は笑いながら頷くと、
「嘘。」
未茉は急にマジな顔になって日が落ち誰もいないバスケットゴールを見つめて言った。
「翔真だって同じだもんな。」
「……」
たまにおちゃらけたと思うと急に大人びた顔したり、切なそうな顔したり、そのギャップに翔真の心は揺さぶられ、
「じゃなぐさめてくれる?」
「いいよ。」
「……!」
「金かかるとこは嫌だよ。」
「・・・かからないよ。でも未茉ちゃんは、お金かかるとこ要求したよね?」
「バレたか?!」
わっはははっ!と笑う未茉に翔真は、やれやれと憎めないため息ついて、
そっとゆっくり彼女の前髪をめくり手を伸ばし、傷口を見た。
「痛かった?縫うの。」
「うん。麻酔の効きが悪すぎて先生殴ってやろうかと思った。」
「決めた。俺絶対将来医者にだけはならない!殴られたくない。」
「そんなお前みたいなおっとりとした医者なんてこっちが嫌だよ。気分乗らなきゃ手術しなそうだしな!!」
「こんなに患者思いの先生いないと思うけどなぁ。」
あーあ、と今日も報われない翔真は未茉の前髪を整えながら呟くと、
「じゃーケーキ食べ放ね!!」
「え、てか俺の慰めは?」
「じゃなんだよー。」
「キスがいいな。」
「うわっ、出たな・・・アメリカ人。」
妙な色気を出してさらりとおねだりするフランクな翔真に未茉はひきつる。
「・・・この前から思ってたけどアメリカ人ってなんなの?」