「離せってば!!もうっ」
自分の身長に合わせるように抱き上げてるから未茉の足はバタバタとむなしく水を切ってるだけ。

「やだ。」
ずっと触れたかった気持ちを押さえて眺め続けてた仏の翔真も我慢の限界だった。


「やだじゃないって!!」

さすがの未茉も後ろ姿とはいえ、自分をすっぽり覆う素肌に感じる硬い素肌は感じる違和感のある濡れた密着には、照れくさいものがあった。


「ほんとに離せ」

「そんなに暴れていいの?」
「あ?」
「この辺サメが出るって。」(嘘)
「うえぇっ!!?マジ!?」

「うん。せっかく二人になれたし。暴れないでしっかり俺に捕まってて。」

少し日も落ちてきて、辺りには人もいなくなり静かになっていくと余計に翔真の気持ちは理性よりも独り占めしたい気持ちが勝り、結城と同じ低レベルな嘘をつき、彼女との密着を図った。

「まだサメの餌にはなりたくねぇな…っーかおい!!」
後ろから抱き寄せる翔真の手の位置がさすがに微妙に胸に当たりそうだったので未茉は暴れると、

「え何?静かにしないとサメ来るよ。」
絶対分かっててやってるような澄ました顔してるので、
「このスケベが・・・」
顔を後ろへと見上げて目と目が合った時、


……ドキッといつもよりも近くに感じて胸が高鳴ったのは、夏のせいだと思った。




「なにあれぇ~湊君と白石さんってばぁーちゃっかり抱き合っちゃってじゃん!!」
「絵になるなぁーお似合いすぎ。」
「羨ましー。」
浜辺にはそんな二人を眺めながら椎名や女子達が羨ましがっていた。


そして・・・

「こぉおらぁぁあああっ!!湊ぉぉおおっ!!お前だけご幸せになるなんて許さねぇぞぉおおっ!!!未茉から離れろぉぉおおっ!!!」

しばらくすると猛烈な勢いで泳いで二人の仲を阻止しようとする二階堂。
「うっ・・・足がつった・・助けてぇー!!助けっ……」