「待って!待ってってるじゃんっ!!ねぇっ!!」
追いついた未茉が匠の腕を掴み、
「なんか…変だよ。ずっと。」
「……」
匠はこっちを振り向かずにそらすように前を見つめていて
「あたしのこと避けてるでしょ?」
「……」
「無言?」
「……」
掴んでいた匠の腕を力なくほどき、未茉はしばらくの無言の後、
「匠兄もあたしのこと嫌いになった?」
ずっと心の奥底に沈めていた不安を口にした。
「!!」
その言葉に驚き、匠は振り返ると未茉はうつむきながらその目に涙を溜めていた。
「違……違うっ!!!」
思わず未茉の両肩をがっちり掴んで匠は大声で全否定した。
「未茉を嫌いになるとかありえないことだからっ!!」
「……よかった……」
やっと目があったその真剣な眼差しに未茉はホッとしたように匠の胸にとんっ……と体を預けるように寄りかかると、
「ごめん。未茉、俺が悪かった……」
彼女の背中を撫でるように伝えたい気持ちと伝えきれない思いを噛み砕くように抱き締めた。
「……やっぱ忘れてねーか。未茉。」
二人が気になって追いかけた健は壁に寄りかかりため息をつき暗く黒く色づき始めた夜空を見上げながら呟いた。



