「あ、ねぇーちゃん!!っとによー!!」
そこへ風呂上がりの和希が姉貴を見つけて文句を垂れる。
「どーした和希。」
「どーしたもこーしたもねーよ!聞いてよ健兄ちゃん!姉ちゃんってば超ー恥ずかしいんだぜ!!」

「あぁ!?てめぇ和希せっかく応援に行ってやったのにっ!!」
「誰が来てくれって頼んだんだよっ!!お陰で女子達にからかわれるしよー!!!」
「どうせ、未茉の声援がバカでかかったんだろ?」
二人のやりとりに健は想像つくと言いながら、匠の分も食べてると、

「それもだけどよっ!湊と大声でいちゃつきやがって恥ずかしいのなんのって!!!」

「和希っ!!」
ふがっ!!と言いかける和希の息の根を未茉は勢いよく止める。
「へぇ~~~。湊とねぇ~~~~。ふぅ~~~ん。」
突き刺さるような視線をあえて送る健の目をそらし、
「う・・・・。て・・てめぇ!!和希下手くそなんだよ!!!もっと練習しやがれ!!」
弟をぼこぼこに殴り八つ当たりをする姉。


「いやぁ~~~ん♡でも本当によかったわぁ♡♡ 未茉ちゃんと翔真君が順調でぇ~~~東条君目当てで会場に行ったけど、いいものが見れたわぁ~~♡♡」
体をくねらせて娘の恋の順調さに痺れるように喜ぶ母に、
「・・・おいっ。息子の応援じゃねーのかよ・・」
そんな母を睨む息子。


(湊と未茉が順調……。)

自分の気持ちも認めたくない現実から目を背けてきた真実とやりとりに匠の表情がみるみると曇っていくのに健は気づき、
「おい、匠……」

「すみません、おばさん…やっぱり体調悪くてこれで。ごちそうさまでした!!」

「「えっ……」」
ガタッ!!といきなり席を立つ匠に一同は驚くも、

「待って!!匠兄っ!!!」

未茉も立ち上がり勢いよく出ていく匠の後を追い玄関を出てった。