「てか、なんで二人がこっちにいんのぉー?」

「もー!未茉ちゃんってば行儀悪いっ!!手洗いうがいしなさいっ!!」
つまみ食いしながら尋ねると、キッチンから料理を運びながらやって来たママに怒られながら、

「なんでって明日から国体予選合宿でしょー?東京の選手は駅集合だから二人ともこっちに帰ってきてるのよ~♡」

「あ、そっか。やべ荷造りしなきゃ。」
全く準備をしてない奴。

「おばさんの手料理幸せだなぁ~うめぇ~!」
「きゃあっ!健君ってばっ!」
寮の飯よりおばさんのご飯が一番ッと豪語する調子のいい健にイケメンには三割増しで喜ぶママ。

「あの……俺も支度終わってないからそろそろ」
未茉が帰ってきたことに動揺を隠せず立ち上がる匠に
「えっ…匠君ってばっ全然食べてないじゃなぁいっ……料理、口に合わなかったのぉ??」
「えっ、あ!ち、違います!」
ショックをうけるママを慌ててなだめる匠に、
「そーだよっ!!匠兄っ!支度なんていつでも出来るじゃん!!!ゆっくりしてってよっ!!話しよーよっ!!!」
手を引っ張り未茉は駄々をこねるように言うと、

「……」
その触れた手に顔を赤くして動揺する匠を隣で健は見ながら、
(国体・・・。ぜってー嫌な予感。めんどくさそー。)
肩の荷が重くなるのであった。